2014/08/14
今回から数回にわたって、監理技術者制度運用マニュアルの内容をご紹介します。
三 監理技術者等の工事現場における専任
(2)監理技術者等の専任期間
発注者から直接建設工事を請け負った建設業者が、監理技術者等を工事現場に専任で設置すべき期間は契約工期が基本となるが、たとえ契約工期中であっても次に掲げる期間については工事現場への専任は要しない。ただし、いずれの場合も、発注者と建設業者の間で次に掲げる期間が設計図書もしくは打合せ記録等の書面により明確となっていることが必要である。
① 請負契約の締結後、現場施工に着手するまでの期間(現場事務所の設置、資機材の搬入または仮設工事等が開始されるまでの間。)
② 工事用地等の確保が未了、自然災害の発生又は埋蔵文化財調査等により、工事を全面的に一時中止している期間
③ 橋梁、ポンプ、ゲート、エレベーター等の工場製作を含む工事であって、工場製作のみが行われている期間
④ 工事完成後、検査が終了し(発注者の都合により検査が遅延した場合を除く。)、事務手続、後片付け等のみが残っている期間
なお、工場製作の過程を含む工事の工場製作過程においても、建設工事を適正に施工するため、監理技術者等がこれを管理する必要があるが、当該工場製作過程において、同一工場内で他の同種工事に係る製作と一元的な管理体制のもとで製作を行うことが可能である場合は、同一の監理技術者等がこれらの製作を一括して管理することができる。
下請工事においては、施工が断続的に行われることが多いことを考慮し、専任の必要な期間は、下請工事が実際に施工されている期間とする。
また、例えば下水道工事と区間の重なる道路工事を同一あるいは別々の主体が発注する場合など、密接な関連のある二以上の工事を同一の建設業者が同一の場所又は近接した場所において施工する場合は、同一の専任の主任技術者がこれらの工事を管理することができる(令第二十七条第二項)。ただし、この規定は、専任の監理技術者については適用されない。
このほか、同一あるいは別々の発注者が、同一の建設業者と締結する契約工期の重複する複数の請負契約に係る工事であって、かつ、それぞれの工事の対象となる工作物等に一体性が認められるもの(当初の請負契約以外の請負契約が随意契約により締結される場合に限る。)については、全体の工事を当該建設業者が設置する同一の監理技術者等が掌握し、技術上の管理を行うことが合理的であると考えられることから、これら複数の工事を一の工事とみなして、同一の監理技術者等が当該複数工事全体を管理することができる。この場合、これら複数工事に係る下請金額の合計を三千万円(建築一式工事の場合は四千五百万円)以上とするときは特定建設業の許可が必要であり、工事現場には監理技術者を設置しなければならない。また、これら複数工事に係る請負代金の額の合計が二千五百万円(建築一式工事の場合は五千万円)以上となる場合、監理技術者等はこれらの工事現場に専任の者でなければならない。
なお、フレックス工期(建設業者が一定の期間内で工事開始日を選択することができ、これが書面により手続上明確になっている契約方式に係る工期をいう。)を採用する場合には、工事開始日をもって契約工期の開始日とみなし、契約締結日から工事開始日までの期間は、監理技術者等を設置することを要しない。
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監理技術者制度運用マニュアル(24)|小中恵介ブログ|行政書士 日本建推事務所