2014/06/14
先日、「会社を、今取締役をしている者に譲りたいのですが」とご相談がありました。
後継者候補の方に、経営業務管理責任者に充分な年数の経験もあり、技術者としての経験も申し分ないので、「これは容易に後継出来そうだな。建設業許可の変更に問題はない」と考えていると、
「ところでこの会社の資本金は1000万円で、出資・設立したのは私なので、私に出資した額を戻して欲しいんです。」と仰います。
確かに資本金は1000万円、剰余金を見ても株価もその額とみて支障なさそうでした。しかし後継者候補の方が、その株を買取れるのか?1000万円は大金です。
「贈与になってもいけませんからね」
仰るとおり、株を無償で渡して、一時助かったように見えても贈与税が、株をもらった方にかかります。
後継者と目されて勤めていても、いざ後継するとなれば、ただ真面目に勤めていただけでは後継できません。資金も準備しておかないと、創業者が引退するときに、その持ち株を買取る必要があります。でないと本当にその会社を後継することができません。
これが企業買収なら、株価だけでなく営業権や資産も算定して、なおかつそれに上乗せして対価を払うものです。
それを、後継者ならまだそこまでの価格は提示されないでしょう。ましてやもし身内なら、先代オーナーの株を相続で受け取って相続税を支払うだけで済むこともあるでしょう。
それを思うと、創業者の遺してくださるものの大きさは、株価だけでは計れません。またそれを遺してゆくオーナーの思いとはどれ程のものでしょう?僕も身内というだけで跡を継がせていただく身、心して仕事をさせて頂きたいと思います。
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